歯がしみる③|伊勢崎市で知覚過敏治療
2021年12月7日
こんにちは、歯科医師の今野です。
前回までのブログでは、「歯がしみる」知覚過敏の原因について2回に分けてお話ししました。
その内容を踏まえて、今回は、知覚過敏への対応や治療法などについてお話ししていきます。
① 口腔清掃指導
つまり、歯磨き指導です。
むし歯でなくて歯がしみるのに歯磨き指導?と思われるでしょうか。
実は磨き残しが知覚過敏の大きな原因になっています。
お口の中に住んでいるむし歯菌は、口の中の糖を食べて、酸を出します。
その酸が歯の表面を溶かして歯がしみる原因になってしまうので、しっかり磨いて歯の表面が酸性環境下から解放してあげることで、象牙細管開口部が唾液中の無機質により閉鎖されるため、知覚過敏の症状は消退します。
また、同じ理由で、酸性食品(すっぱい飲み物、食べ物)の過剰摂取や摂食障害によっても知覚過敏が生じますので、それらが原因の場合は食生活の改善が必要です。
② 象牙細管開口部の積極的な閉鎖
1) 歯磨剤の応用
知覚過敏に効果のある歯磨き粉の使用も有効です。
特に、フッ化ナトリウム(いわゆるフッ素)、乳酸アルミニウム、硝酸カリウム等を用いる歯磨剤を用いたブラッシングを行いましょう。
2) 薬物の塗布
ここからは歯科医院で行う処置になります。上記の方法でも知覚過敏症状が改善しない場合に知覚過敏用の薬物を塗布します。
3) 露出した象牙質の被覆
歯と歯茎の間にくさび状欠損と言われる段差ができてしまっている場合などには、主にコンポジットレジンと呼ばれるプラスチックとセラミックの中間の材料を用いて塞ぐこともあります。
③ 咬合調整
異常なかみ合わせや、強いかみ合わせが見られるときに、かみ合わせの負担の軽減を目的として調整を行います。
④ 修復
知覚過敏症状が生じている部位に硬組織欠損(歯が欠けている状態)がある場合は、欠けている部位を詰め物により修復します。
この時、詰め物を接着する面を一層削るため、術後、かえって一時的な知覚過敏を生じる場合もあります。
⑤ 抜髄
これは最終手段になります。
上記の如何なる方法を用いても知覚過敏症状が消退しない場合に、歯の神経を取る方法もあります。
ただし、歯の健康を鑑みると、まず行うことはありません。
これらの方法は、上から順番に優先順位が高くなっています。
例えば薬物塗布により一時的に知覚過敏症状が軽減しても、磨き残しが多かったり、歯ぎしりがあったり、と原因がなくならない限り、一時的に封鎖した象牙細管が再度開口してしまい、知覚過敏を繰り返してしまいます。
いかがでしたでしょうか。このように、ただ「歯がしみる」というひとつの症状であっても、その原因や対処法は様々であり、複合的に原因が重なり合っていることも多くあります。
「様子を見ましょう」と言われがちな知覚過敏ですが、その言葉の中には、できるだけ健康な歯を削ったり神経を取ったりしたくない、という歯科医師の気持ちが隠れています。
まずあなたの歯がしみる原因がどこにあるのか、一緒に考えていきましょう。
どうぞお気軽にご相談ください。