コロナと小児歯科
2021年10月16日
こんにちは、歯科医師の今野です。
先日、小児歯科学会の学術大会に参加しました。
昨年度はコロナの影響で流れてしまいましたが、今年はWeb開催で、小児口腔機能発達不全症についての内容が大部分を占めていました。
このブログの中で、わたしは何度か小児口腔機能発達不全症、つまり食べたり、飲んだり、話したりするようなお口の機能に問題のある子供たちについてお話ししましたが、コロナの影響で、それが輪をかけて問題視されています。
みなさんの身近なお子さんで、いつもお口をぽかんとあけている子はいませんか?
わたしは幼い頃、口が開いていると母親にすぐ「だらしないから閉じなさい!」とぴしゃりと指摘され、慌てて閉じていたものです。
しかしながら、現在のマスク生活では、お口を開けていても周りの大人が気づいて指摘してあげることができません。また、マスクをしていると息苦しいので、口呼吸してしまいやすくなります。
更なる原因として、このコロナ禍で、子どもたちは人との接触を制限されています。
そのため、ゲームやスマホを使用する時間がコロナ前より41%も増加した、というデータが出ています。
ゲームやスマホを使ったり、テレビを見ているときの子どもたちの姿勢を見てみてください。
多くの子どもたちが猫背でいるのではないでしょうか。
猫背になると、気道がふさがり呼吸しにくいので代償的に下顎を前に出します。
それでも息苦しければ口呼吸になります。
また、それによりあごの成長がうまくいかずに、受け口になったり出っ歯になったり、歯並びが悪くなってしまいます。これでは食べる機能にも支障が出ます。
子ども同士での大人数での遊びも制限されているので、お口や全身を使った遊びが減少し、さらに発達不全を増長させてしまいます。
このコロナ禍でストレスを感じているのはわたしたち大人だけではありません。
現に、小学校4年生以上の15~30%の子供に中等度以上のうつ症状が出ている、というデータがあります。児童生徒の自殺者数も過去最高となっているそうです。
会話をしながらの口腔ケアは、ストレス・不安を軽減します。
また、発達が足りていないお口の機能を育てるためのアクティビティを行うことは、お口だけでなく全身の健康にも繋がります。
子供たちの健やかな発育のために、歯科からできることは何か、一層考えさせられる学術大会となりました。