歯がしみる②|伊勢崎市で知覚過敏治療
2021年07月24日
こんにちは、歯科医師の今野です。
先日は「歯がしみる」症状について、歯の構造的な面から原因をお話ししました。
お読みになった方はいらっしゃいますか?
前回のお話しでは、歯の「エナメル質」や「セメント質」と呼ばれる歯の一番外側を覆う組織が何かしらの原因によって失われて「象牙質」と呼ばれるエナメル質の内側の組織が露出し、その内面にある神経のお部屋とつながる「象牙細管」と言われる細い管がお口の中に開口すると、「つめたい、熱い、歯ブラシで磨く刺激、風、乾燥、甘味」など様々な刺激をすべて「痛み」として感じてしまう「知覚過敏」という症状につながる、というお話をしました。
それでは、どうしてエナメル質やセメント質に覆われていたはずの「象牙質」が外側に露出してしまうのでしょうか。
それには以下のような様々な原因が考えられます。
① むし歯、咬耗、摩耗、くさび状欠損、酸蝕症、破折
② 歯肉退縮(加齢、歯周疾患、歯周外科治療後)による歯根露出
③ むし歯治療後
④ 歯石除去後
分かりにくい言葉もあるので、ひとつずつ解説していきます。
① むし歯、咬耗、摩耗、くさび状欠損、酸蝕症、破折
むし歯や破折はイメージがつきやすいのではないでしょうか。むし歯で歯の表面が溶けてしまったり、歯をぶつけるなどして破折してしまった場合、象牙質が露出してしみる症状が出ます。
「咬耗」はかみ合わせによって、「摩耗」はかみ合わせ以外の刺激(歯ブラシの圧など)によって歯がすり減ってしまうことです。これが原因でエナメル質が失われ象牙質が露出することもあります。
「くさび状欠損」とは歯と歯茎の境目の部分の歯がくさび状に欠けてしまうことです。これも食いしばりや歯ぎしり、強すぎるブラッシング圧などによって生じます。
「酸蝕症」とは、酸っぱい食べ物や飲み物により歯が溶かされてしまうことです。
毎日黒酢を飲むとかコーラを飲む、という方は気を付けましょう。
酸性の強いものを習慣的に飲む方が歯ぎしりや強いブラッシングをすると、そうでない方と比べて圧倒的に「咬耗」「摩耗」しやすくなってしまいます。
② 歯肉退縮(加齢、歯周疾患、歯周外科治療後)による歯根露出
加齢や歯周病によって歯茎が下がると、今まで歯茎に隠れていた歯の根の部分が見えてきてしまい、そこがしみる原因になります。
③ むし歯治療後
むし歯治療のために歯を削った後も今まで隠れていた象牙質が露出するため、一時的に歯がしみる症状が出ることがあります。
また、親知らずを抜いた後で、その隣の歯がしみることもあります。
親知らずと接していた部分が今まで親知らずによって隠れていたのに抜いたことで露出するためです。
④ 歯石除去後
歯の周囲を覆っていた歯石を除去したことにより、今まで隠れていた歯が外側に露出し、一時的にしみる症状が出ることがあります。
このように、一言で「知覚過敏」と言っても原因は様々で、それに対する治療も原因に応じて様々です。
次回は知覚過敏の治療法について詳しくお話しします。